概要
本ウェブサイトでは医療関係者からの関心が高い分野を安全性に関する重要なトピックとしてまとめています。PML、CM、COVID-19をはじめとする感染症や生殖毒性など、S1P受容体調節薬の薬理作用に関連する分野をピックアップしています。
- 臨床試験で(controlled pool)1では、シポニモド群とプラセボ群の感染症発現率は同等であった。また、シポニモドの長期投与(long-term pool)による感染症発現率の増加は認められなかった2
- 現在までに、シポニモドでのPMLの症例は報告されていません
- CMは治験で1例報告されていますが、最新の報告までに新たな症例は報告されていません
- シポニモド投与下においてCOVID-19の確定症例は計79例報告されていますが、多く(75%)は非重篤でした
- Novartisの安全性データベース上で計27例の妊娠が報告されていますが、生殖毒性に関する新たなリスクは見出されていません。シポニモドに曝露された妊婦において、先天性奇形や妊娠・出産に関連する胎児・母体の合併症が報告された症例はありません
ウェブサイト上の安全性データは、PSURに合わせて半年ごとに更新されます。使用されるデータソースは以下のとおりです。
1. 臨床試験データ(ランダム化比較試験および継続投与試験を含む)
- Controlled pool1:BOLD試験およびEXPAND試験の二重盲検プラセボ対照コアパート(シポニモド2 mg)
- Long-term pool2:BOLD試験とEXPAND試験のコアパート(盲検および非盲検)および/または継続投与パートにおいて、シポニモド2mgまたは10mg(BOLD延長試験では10mgが最大24ヶ月まで投与された)により治療された期間
2. 市販後の症例数は、シポニモド承認国における販売データから推定されている3
BOLD試験4:二重盲検、無作為化、アダプティブ用量、プラセボ対照、並行群間第II相試験
BOLD継続投与試験5:用量盲検下で最長24ヵ月間継続投与した後、非盲検下でシポニモド2 mgを約3年間投与
EXPAND試験6:二重盲検、無作為化、並行群間、プラセボ対照、event-driven、exposure-drivenの第III相試験コアパート(最長36ヵ月)、および非盲検継続投与パート(最大7年/84ヵ月)
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BOLD試験は、成人(18~55歳)のRRMSを対象とした二重盲検、アダプティブ用量の第II相試験であり、2つの患者コホートで順次試験を行い、3ヵ月後に中間解析を行った。本試験では、シポニモドの脳MRI病変への有効性に関する用量-反応関係を検討するとともに、RRMS患者における安全性と忍容性を評価した。コホート1の患者(1:1:1:1)には、シポニモド10 mg、2 mg、または0.5 mg、もしくはプラセボを1日1回、6ヵ月間投与した。コホート2(4:4:1)の患者には、シポニモド1.25mg、シポニモド0.25mg、またはプラセボを1日1回、3ヵ月間投与した。主要評価項目は用量反応性であり、投与3
ヵ月後までの combined unique active lesion数を指標として、シポニモド群とプラセボ群を比較した。4
BOLD継続投与試験では、用量盲検下において5つの用量でシポニモドを最大24か月間投与した際の安全性と有効性を検討し、BOLD試験における有効性が維持されたかどうかを評価するとともに、治療開始時の心拍数変化が漸増投与によって緩和されたかどうかを評価した。5
第3相EXPAND試験は、無作為化、並行群間、二重盲検、プラセボ対照、event-driven、exposure-drivenのコアパート(最長3年)と、それに続く非盲検継続投与パート(最長7年)で構成されている。本試験では、合計で最長10年間にわたるシポニモドの長期有効性および安全性データが収集される。EDSSスコア3.0~6.5のSPMS患者(18~60歳)を、シポニモド2mg/日群またはプラセボ群に2:1の比でランダム化し、事前に規定した回数のCDP(confirmed disability progression[持続する身体障害進行])イベントが発生するまで観察した。主要評価項目は、3-month CDPが認められるまでの期間とした。CDPは、ベースラインのEDSSスコアが3.0~5.0の場合は1点増加、ベースラインスコアが5.5~6.5の場合は0.5点増加と定義し、3ヵ月以上後の規定来院時に確認された。2つの主な副次評価項目は、T25FWを指標として3ヵ月持続するベースラインからの20%以上の悪化が確認されるまでの期間、およびT2病変容積のベースラインからの変化とした。6
